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府中けやき共同事務所

2021/04/30

おひとりさまの相続 その②

こんにちは!

先月は『おひとりさまの相続』と題して、相続人がいない場合や、いたとしても関係性が薄い場合などに注意すべき点について解説しました。
中でも重要なことは自身の死後に発生する様々な手続きを依頼できる「頼れる誰か」を見つけておくことだと述べましたが、
どうしても「頼れる誰か」が見つからないというケースも存在することでしょう。


そこで今月のブログでは「おひとりさまの相続その2」として、主に死後事務委任契約尊厳死宣言書について解説してまいります。
遺言書やエンディングノートなどと違い、あまり聞きなれない言葉だと思いますが、「おひとりさま」にとってはぜひ知っておいていただきたい知識となります。遺言書・エンディングノート・後見制度との違いについても解説してまいりますので、ぜひ最後までご覧ください。





死後事務委任契約とは? 


「頼れる誰か」を確保することがどうしても難しい場合に今回解説する『死後事務委任契約』は役に立つ手段です。生きている内に葬儀や納骨、死後の各種手続きをお願いする契約になりますが、「頼れる誰か」がいない場合、弁護士や司法書士といった専門家と契約することになります。
実際に『死後事務委任契約』の契約内容は人によって異なりますが、代表的なものは次の通りです。


・亡くなったことを事前に決めた人へ知らせる
・埋葬等に関する手続き
・葬儀に関する手続き
・病院や施設の退所と精算
・住まいの管理と精算
・遺品整理の手配
・スマホなど定期課金サービスの解約
・デジタルデータの処分


ご家族がいらっしゃる場合、上記のようなことはご家族が行ってくれるのが一般的ですが、“おひとりさま”であり、「頼れる誰か」も中々見つからないといったケースでは「死後事務委任契約」を活用することで、自身の死後に行ってほしいことが実現可能となるのです。

一点ご注意いただきたい事として、死亡届の提出は死後事務委任契約だけでは出来ません。死亡届を提出できる人は親族、同居者、家主、地主又は家屋管理人、土地管理人、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者のいずれかとなりますので、“おひとりさま”で死亡届を提出できる方がいらっしゃらない場合は、後述する任意後見制度もセットで検討した方が良いでしょう。


遺言書との違い

 





遺言書に書ける内容については以前当ブログでも解説させていただきましたが、主に自身の財産に関する事柄を書くのが遺言書です。預金は長男に、土地は長女に…といった感じになりますが、今回取り上げている「死後事務」について遺言書で指定することは出来ません。

“おひとりさま”の相続で考えると、自身の財産を特別に譲りたい人がいない場合は遺言書の作成自体不要となります。他方、特別に譲りたい人が存在する場合は遺言書の作成が必要になりますが、遺言執行者が遺言書を書いた人が亡くなった事実を知らないと、せっかく作成した遺言も執行されず無駄なものとなってしまう可能性もございます。

そのようなリスクに対して「死後事務委任契約」で亡くなった事実を関係者に知らせるという契約をしておけば、亡くなった事実を遺言執行者も知らないというリスクは排除することが可能です。実務上は「死後事務委任契約」を依頼した専門家が遺言執行者となっているケースが多いため、死後事務を行った後、専門家が遺言を執行するという順番になります。


エンディングノートとの違い 






遺言書では指定できない財産以外の希望を叶えるのが「死後事務委任契約」とも言えますが、似たようなものとしてエンディングノートも存在します。
お葬式のことや私物の処分方法、伝えてほしいこと等を書き留める物ですが、「死後事務委任契約」との大きな違いとして、書いた通りに実現するとは限らないという点がございます。

「死後事務委任契約」は契約です。委託者(頼む人)と受任者(頼まれる人)が存在し、あらかじめ決められたとおりに行動しますので、確実に委託者の希望は叶えられます。
当然ですが、「頼んだ人が亡くなってるわけだから別にやらなくてもいいや」ということは専門家へ依頼した場合絶対にありえません。

一方、エンディングノートに法的効力はありませんので、書いた通りに実現する保障はありません。「頼れる誰か」が見つからない場合は、エンディングノートを遺したとしても誰にも見つからない可能性も存在しますので、“おひとりさま”の相続を考慮した場合、「死後事務委任契約」を活用することこそが、もっとも自身の希望を反映できると言えるでしょう。


任意後見制度と合わせて活用 





成年後見制度(法定後見)という言葉はかなり世の中に浸透してきたように思えます。
認知症の発症などを原因として、判断が出来なくなってしまった方に変わり、財産管理や身上監護を行う制度ですが、判断が出来なくなる前に信頼できる人を後見人として契約しておくことも可能です。これを任意後見と呼びますが、“おひとりさま”の場合、今回解説している「死後事務委任契約」と合わせて活用して行きたい制度であると考えます。

上図は任意後見契約締結から遺言執行までの流れを表したものですが、任意後見・死後事務委任契約・遺言書を利用することで、一人の専門家を介してワンストップで終活対策が可能となります。

判断が出来なくなる前の元気なうちに、これらの契約を結んでおくことで、いざ自身が認知症になってしまった場合でも、任意後見を利用して介護計画や施設入所へ対応することが可能となりますし、万一の際には先述の通り死亡届の提出も可能となります。さらに、後見では不可能な死後事務も死後事務委任契約をあらかじめ結んでおくことで対処可能です。遺言書は財産をどうしたいか? によりますが、特定の方へ譲りたい場合はあらかじめ作成しておくことで、財産は受け継がれていきます。

“おひとりさま”としての終活を検討されている方は、任意後見・死後事務委任契約をセットで考えることをおススメいたします。


尊厳死宣言書 





死後事務委任契約を検討される方は任意後見も併せて検討していただきたいことは先述の通りですが、「尊厳死」についても自身の意思をあらかじめ表示しておくことが可能です。
尊厳死とは病気や事故によって現代の医学では回復の見込みがなく、所謂植物状態となってしまった際に延命治療を施すことなく、人間としての尊厳を持って死を迎えることです。

どんな手段を使っても可能な限り生きて行きたいと考えている方にとっては不要ですが、上記のような状態となってしまった際に、尊厳死を選択することは“おひとりさま”にとって困難が付きまといます。
身内がいない場合、医療関係者としては出来る限りの延命を行うことになりますので、自身が尊厳死を望んでいたとしても、その願いが叶うことは無いでしょう。

そこであらかじめ尊厳死宣言書を作成しておけば、必ず実現されるということは断定できませんが、日本尊厳死協会の調査によると、回復の見込みがない末期状態になって「尊厳死宣言書」を提示すると9割以上の医療関係者が受け入れたというデータがございます。そのため、自身の希望を実現できる可能性は高いと言えるでしょう。

もし、尊厳死宣言書の作成を考えている場合は、公正証書で作成することが望ましいです。後日のトラブルや紛失のリスクを避ける意味でもおススメできる手段となりますが、個人で作成する前に専門家へ相談されてから公証人役場へ行かれると良いでしょう。


死後事務委任契約の注意点 





“おひとりさま”にとってメリットの多い死後事務委任契約ですが、一点注意していただきたい事として、『元気なうちでないと契約できない』という点がございます。

認知症等の発症により、正常な判断が出来なくなってしまった場合、法律上の「契約」行為は不可能となりますので、元気で自分が判断できるうちに頼れる専門家と契約されることを強くおススメいたします。

終活・相続関係の事前手続きや契約は「元気で判断ができるうち」でないと出来ないものが多く存在しますので、“おひとりさま”で特に自身の体調に不安がある場合は早め早めに対応しておかないと、いざという時に誰の手助けも得られないという事態にもなりかねません。

さらにコロナ禍の現在では様々な事柄を進めるのにも時間がかかってしまうケースが多く存在しますので、「早めに動く」ということを平時以上に意識していただければと思います。





今回のまとめ

 
前回のブログでも解説した通り、生活様式や働き方の多様化で今後“おひとりさま”は増えて行くことになりますが、自身の最期まで考え事前に打てる手を打っている方はまだまだ少ないと個人的には感じています。

『一人で生きて行く』ことは出来ても、死後の事は誰かに任せるしかありませんので、“おひとりさま”としての終活をどのように行っていこうか考えていらっしゃる方は、任意後見・死後事務委任契約・遺言書、そして希望される方は尊厳死宣言書もセットで検討されることをおススメいたします。

当事務所でもご相談を承っておりますので、“おひとりさま”の終活・相続について気になることがあればどうぞお気軽にご相談ください。


最後までお読みいただきありがとうございました。




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