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府中けやき共同事務所

2021/01/31

相続における特別代理人の選任

こんにちは!

2021年がスタートして早々、再度の緊急事態宣言発令となってしまいました。
弊所は感染対策を行った上で業務を継続しておりますが、このような状況だからこそ相続関連のご相談・お問い合わせが増えているように感じます。
ただし、平時と違い手続き一つをとってもお時間を頂く場合がございますので、余裕を持ったスケジューリングでご相談していただければと思います。

さて、2021年最初のブログでは先月取り上げた数次相続とも関連のある、「相続における特別代理人の選任」について解説していきたいと思います。
相続と聞くと財産を渡す側が高齢者、受け取る側は40~50代といったイメージが一般的かもしれませんが、中には財産を受け取る方の中に未成年者が登場するケースも存在します。

その場合、今回解説する特別代理人の登場となるわけですが、保護者の方が自由に決められるわけではありません。
では、どのように特別代理人は決められ、どのような手続きをしたらよいのでしょうか。財産を受け取る側に未成年者が登場しそうな方は特に知っておいていただきたいことですので、どうぞ最後までお付き合いください。



未成年と法定代理人





上図のような家族がいたとします。不幸にもお父さんが若くして亡くなり、配偶者と未成年の子ども2人が遺されました。
お父さんが遺言書を残していない場合、遺産分割協議が行われることになりますが、
法定相続分通りに分割した場合

配偶者…1/2
子どもたち…1/4ずつ
に分けられます。


遺産分割協議を進めるために遺産分割協議書を作成し、実印を押してもらうことになるのですが、未成年者の場合法律行為を行うには親権者が未成年者を代理して行うことが出来ます。そのため、親権者である母親(配偶者)が代理して進めることになる…わけですが、母親も相続人(遺産をもらう側)の一人ですので、やろうと思えば自分に都合のいい様に遺産分割協議を進めることも出来てしまいます。

そこで民法では次のように定められています。


①親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
②親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。(民法826条)


分かりやすく言い換えると、子どもの(相続する)権利まで親が勝手に行うと、自分に都合のいい様にも出来てしまうから、第三者を子どもの特別代理人に立てて家庭裁判所にお伺いを立ててくださいね。
あと、子どもが2人以上いる場合はそれぞれに別の特別代理人が必要になりますよ。
ということです。

以上のような理由から未成年者が相続人に存在する場合、「特別代理人」が必要になってくるというわけです。


数次相続と特別代理人




「自分に都合のいい様に遺産を分けたりしないよ!」とおっしゃる方が多いと思いますが、先月解説した数次相続の場合もはたしてそう言えるでしょうか?


上図の場合法定相続分通りに分けると次のようになります。
母:父の遺産の1/2
次男:父の遺産の1/4

長男の配偶者:義父の遺産の1/8
長男の子:義父の遺産の1/8


もし、次男が両親と同居している状態でかつ、亡くなった父の遺産が自宅とわずかな預金だった場合どうなるでしょう?
長男の配偶者も、長男の子も1/8の遺産を受け取る権利はあります。
しかし、1/8ずつを現金で用意できないとしたら…。 


次男としては何とか遺された母親と実家に住みたいと思うのが普通でしょう。
そこで、長男の配偶者に自分の住まいを確保させてもらうべく交渉に行くことになるかもしれません。
なにせ、自分の住まいがかかっています。気迫に負けて次男の要求を飲んでしまったとしましょう。
しかし、長男の配偶者には同じく相続人という立場である子どもがいます。

もし、子どもがどうしても1/8の遺産を相続したいと思っていても、母親が次男の要求を飲んでしまうと、子どもの権利が侵害されてしまいます。
このように、登場人物の関係性が複雑になればなるほど、未成年者の権利は侵害されやすくなりますので、特別代理人の存在が重要なものとなってくるのです。

仮に次男が無理やり事を進めようとしても、長男の子の特別代理人がいない状態では何をしようとも遺産分割協議が成立することはありません。


特別代理人の選任手続き



既述の通り、特別代理人を選任するためには家庭裁判所にお伺い(申立て)を立てなければなりません。
具体的な手続き方法と費用についてご紹介します。

まず、家庭裁判所にお伺いを立てる前に遺産分割協議書案を作成することと、誰を特別代理人とするか決めておく必要があります。
遺産分割協議書案はあくまで(案)ですが、未成年者にとって不利な内容である場合はその理由について上申書も一緒に提出します。法定相続分通りでないから絶対にダメというわけではありませんので、個別の事情がある方は選任手続きを行う前に専門家へ相談されてから進めるとよいでしょう。

次に特別代理人を誰にするか? ということですが、当事者である親子との間で利害関係のない第三者であることが必要です。先ほどの数次相続の例で言えば、長男の配偶者の親などが該当します。

遺産分割協議書案、特別代理人を誰に担当してもらうか? の2点が決まれば、いよいよ家庭裁判所へ申立てを行うことになります。



裁判所HPより引用 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_11/index.html


上表が申立てに関する必要書類等の一覧となります。ちなみに、多摩地区にお住いの方であれば東京家庭裁判所立川支部へ申立てをすることになりますが、特別代理人が選任されるまで1カ月程度は時間を要しますので、早めに動くことが大切です。


特別代理人を回避するためには?




特別代理人の選任は手間もかかりますし、専門家へ相談するケースも多いためお金もかかります。
また、先の数次相続などのように登場人物が多くなればなるほど揉める要素は増え、心身ともに消耗する可能性も高いと言えるでしょう。

これを回避するためには遺言書の作成が最もおススメできる手段です。
有効な遺言書さえあれば、遺産分割協議を行わずとも、次の世代へ遺産を渡すことが可能です。




最初に取り上げた家族の場合、お父さんが「配偶者に全財産を相続させる」という遺言を有効な形で遺しておけば、特別代理人の選任を回避できます。
ただし、全財産となった場合は子どもたちの遺留分を侵害していることになりますので、後々遺留分侵害請求を受ける可能性もあります。
ですので、トラブルの種を解消しておくために、「全財産」という表記は避け、最低限遺留分に配慮した書き方をしておくと良いでしょう。


具体的な例を示すと、財産が自宅と預金の場合、自宅は配偶者に相続させ、預金の中から遺留分の割合に応じて子どもたちに相続させるという手段が有効です。子どもたちに相続させた預金も最終的には母親が管理することになるでしょうから、遺言書の機能を最大限に生かしつつ、特別代理人という手間を省き、後々発生するかもしれない遺留分侵害請求というリスクも抑えることが可能になります。


もっとも、一般的には自分の親に対して成人してから遺留分侵害請求を起こすことは少ないとは思いますが、現時点で考えられるリスクを小さくしておくということも大切だと考えます。家族間の関係性にも左右されることですので、「自分の場合はどうしたらいいかな?」とお悩みの場合は専門家へ相談しておくことをおススメいたします。





今回のまとめ

相続人の中に未成年者がいたらどうなるのか? というテーマで特別代理人について解説させていただきました。
未成年と聞くと20歳未満だと思っていらっしゃる方も多いと思いますが、先の民法改正で2022年4月1日より成年年齢は18歳となります。
そのため、2022年4月1日以降に発生した相続は相続人が18歳以上の場合遺産分割協議に参加し、自分の意思で遺産をどうしていくか決めることも可能です。

しかし、18歳になったからと言っていきなり、「相続」という大人でも苦労する事態に冷静な判断をもって臨めるかは疑問が残るところです。特別代理人は未成年者が相続人である場合のみに選任が必要なものですが、若年者の方が「相続」という事態に望む際には、的確な判断とアドバイスが出来る専門家も必要なのではないかと思います。

弁護士・税理士・司法書士と相続の専門家は分野ごとに様々な業種が存在しますので、判断に迷われた際はどうぞお気軽にご相談ください。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。






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